ちいさな隠れ家、ちいさな出来事
きらきらと星たちが輝く空の下。小さなログハウスで私たち二人は語り合っていた。
子供なりに真剣に考えた将来のこと、身近な友人の恋愛のこと、話を分かってくれない両親のこと。
わたしは時に頷き、時に口を開き、時に笑った。彼と話している時間が幸せで頬が緩んだ。彼もまた同じように話し、笑い、楽しい時を過ごしているはずだ。
彼の笑顔にわたしは頬が熱くなりながら、それを隠しつつ会話を進める。
そしてふと、静寂がわたしたちを包み込んだ。
どうしたのだろう、と隣を見ると、彼と目が合う。潤んだようにも見える瞳は、星の光を受けて揺らめくように輝いていた。
思わず口を衝いて言葉が出る。
それを聞いた彼はぼっと顔を赤くし、わたしも釣られて赤面し黙り込む。
暫ししじまが再び訪れ、呟くように彼が言葉を紡いだ。
はっと面を上げ彼を見る。横を向いた彼の表情はわからないが、口角が上がっているように思えた。
慌てた様子でばっと立ち上がり、早歩き気味にログハウスの出入り口である梯子へ向かおうとする彼をわたしはぎゅっと抱き留めた。
そのまま首に手を回し、愛を示す。わたしたちは呼吸すら忘れ暫しそれに耽っていた。
わたしは力強く彼を抱き、それに彼も応える。
満天の星空が臨む綺麗な夜、二人の隠れ家でのことだった。
以来わたしはその隠れ家には足を運んでいない。
だって彼は、今は隣にいるのだから。